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テミスの不確かな法廷

テミスの不確かな法廷

直島 翔 KADOKAWA 2025年11月25日

感想

話題のこの作品、ようやく手に取る機会に恵まれた。発達障害を抱えながら裁判官という職に身を置く主人公・安堂清春という設定だけで、すでに興味をそそられていたが、読み始めると予想以上に引き込まれた。 裁判という法廷という舞台を通じて、人間関係の齟齬、コミュニケーションの難しさ、そして「生きづらさ」というテーマが丁寧に紡ぎ出されている。事件の真実を追求する過程で、安堂自身の内面も徐々に明かされていく構成は見事だ。複数の短編から構成されているため、単発の事件を追うだけでなく、キャラクターの深さを味わえるのが魅力である。 岩波明による解説も秀逸で、医学的観点から登場人物の心理状態を読み解く視点が得られ、小説の奥行きが一層深まった。今の時代だからこそ、多様性や発達障害への理解がテーマとして必要とされているのだろう。法律知識がなくても楽しめる娯楽性と、社会的な問題提起を両立させた良質なリーガルミステリだと感じた。

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