直人の本棚
「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」

アレン・ネルソン 講談社 2010年3月12日

感想

映画化されると聞いて手に取った一冊だが、これほど重い内容とは予想していなかった。ベトナム戦争の退役兵による証言集とのことだが、単なる戦記ではなく、若き兵士がいかにして人殺しへと馴致されていくか、その心理的プロセスを赤裸々に描いている。 著者の言葉は飾りがなく、むき出しだ。貧困と人種差別から逃れるために軍隊を選んだ青年が、訓練を通じて如何に殺人への抵抗感が削り落とされていくのか。そして戦地で何を見たのか。子どもたちに向けて書かれたという触れ込みだが、むしろ我々大人こそが読むべき内容である。 現在も世界のどこかで戦火が絶えない状況下で、この作品が世に出されることの意味を考えずにはいられない。戦争の「ほんとう」とは何か、政治的レトリックや美談ではなく、実際にそこで起きていることは何か。その問いが強く突き刺さる。塚本晋也による映画化も気になるところだが、まずはこのテキストの力を感じてほしい。現代人必読の一冊だ。

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