直人の本棚
成瀬は信じた道をいく

成瀬は信じた道をいく

宮島未奈 / 宮島 未奈 新潮社 2024年1月24日

感想

話題作ということで、前作『成瀬は天下を取りにいく』の続編を期待して手に取りました。成瀬あかりという唯一無二のキャラクターが再び登場し、様々な人物との交差を描く構成は興味深いのですが、読み進めるうちに少し物足りなさを感じてしまいました。 前作の勢いと独創性が、今作では幾分か薄れているように感じられます。個性豊かな登場人物たちとのエピソードは丁寧に描かれているものの、それぞれが断片的で、全体として一つの物語に統一されていないような印象を受けました。特に後半の展開は、成瀬というキャラクターの魅力をもう一度見つめ直したいという期待とは異なる方向へ進んでしまったように思います。 短編5篇の構成も、良い面と課題がありますね。読み応えはあるのですが、各篇が独立しすぎて、全体を通しての深い余韻が残りにくいのです。58年生きてきた人間として、もっと一貫した思想や人間観を感じたかった。同じ作者の作品なら、もう一度『天下を取りにいく』を開き直すほうが、充実感があるかもしれません。

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