斎藤の本棚
吹けば飛ぶよな男だが(1)

吹けば飛ぶよな男だが(1)

渋谷 龍太 KADOKAWA 2023年3月1日

感想

SUPER BEAVERの渋谷龍太さんが書いたこのエッセイ集を手にしたとき、正直なところ少し驚きました。ロックバンドのボーカルが綴る日常の言葉って、どんな世界観なんだろうと。 読み始めてみると、それは予想を遥かに上回る面白さでした。日々の何気ない出来事—マッチングアプリ、映画館、食事の場面—を通して、人生って本当はこんなにシンプルで優しいものなんだと気づかされます。各編は短いのに、その短さの中に詰め込まれた「あるある感」と「ハッとする深さ」のバランスが絶妙です。 特に印象的だったのは、大人になってからも分からないことばかりなんだ、という率直な告白。家事に育児にと日々を回す自分として、そのありのままの思考が心に響きました。新作小説も収録されており、エッセイとは違う角度から「幸せ」「夢」を問いかけてくる。話題の本というのは往々にして過度な期待を生むものですが、この一冊はその期待をちゃんと受け止めてくれる。大人が読むべき、本当に良い本です。

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