斎藤の本棚
盤上の向日葵

盤上の向日葵

柚月裕子 中央公論新社 2017年8月1日

感想

将棋とミステリーが融合した話題作、読まずにはいられませんでした。白骨死体の謎を追う刑事二人が、将棋の聖地・天童へと向かうという設定だけで引き込まれます。 叩き上げの石破と、かつてプロ棋士志望だった佐野というキャラクター設定が実に秀逸。二人の掛け合いのテンポの良さ、互いに補い合う関係性が心地よく、物語へどんどん引き込まれていきます。 何より素晴らしいのは、将棋というテーマが単なる背景ではなく、物語の核として機能しているところです。駒の描写から始まり、竜昇戦という架空の大事件を舞台に、謎解きと人間ドラマが絡み合う。大型連休中に読み始めたら、一気読みしてしまいました。 終盤の展開には想定外の仕掛けもあり、将棋ファンでなくても十分楽しめる作品だと感じます。話題になっている理由が納得できました。大人が満足できるエンターテインメント小説として、かなり完成度が高いと思います。