斎藤の本棚
西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ

梨木 香歩 新潮社 2001年8月1日

感想

SNSで何度も目にして、ずっと気になっていた一冊をようやく手に取りました。 不登校という重いテーマながら、読み終わった後には温かさと希望が胸に残る。これは本当に素敵な作品です。主人公のまいが、西の魔女——祖母の元で過ごす一ヶ月間の物語なのですが、その中で描かれる「自分で決める」ことの大切さが、実に自然に、そしてしみじみと伝わってきます。 家事や育児で毎日を過ごしていると、つい誰かの期待に応えることばかり考えてしまう。そんな日々の中で、この物語は静かに問いかけてくるんです。「あなたは本当に何がしたいのか」と。祖母のセリフ一つ一つが深く、技巧的でない言葉だからこそ心に刺さります。 後半の「渡りの一日」も素敵な続編で、物語の世界観を上手く広げています。世代を問わず、人生の節目にいる人たちに読んでほしい。子どもにだけでなく、親世代にこそ届いてほしい本だと感じました。本当に出会えてよかった一冊です。