斎藤の本棚
宮本輝全集(第13巻)

宮本輝全集(第13巻)

宮本輝 新潮社 1993年4月1日

感想

宮本輝の全短編28作品がこの一冊に収められているという贅沢さに惹かれて手に取りました。デビュー以来の軌跡を短編という形で辿れるのは、作家の創作人生を立体的に理解する上で本当に貴重な体験です。 各編の質のばらつきが少なく、どれを開いても宮本輝特有の人間洞察の深さが感じられます。登場人物たちの心理描写は相変わらず秀逸で、日常の些細な場面から人生の本質が浮き彫りになる瞬間が何度もありました。長編では拾いきれない多様なテーマや人物像に出会える喜びがあります。 家事の合間に少しずつ読み進められるのも短編集の良さで、忙しい日々の中でも作品世界にしっかり浸ることができました。ただ28編は分量が多く、全て同じペースで読むと終盤は少し疲れるかもしれません。それでも、作家の全体像を掴みたい方や、短編の魅力を改めて認識したい読者には本当にお勧めできる一冊です。宮本輝ファンなら確実に満足できる内容だと思います。

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