宮本輝全集(第13巻)

宮本輝全集(第13巻)

宮本輝

出版社:新潮社 出版年月日:1993/04/01

新潮社 | 1993/04/01

3.00
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

宮本輝の全短編を一冊に収めた全集というのは、編集企画としては興味深い。しかし手に取ってみて気になったのは、時間軸に沿った収録による違和感だ。 デビュー初期の作品から最近のものまでを時系列で並べるというのは、一見すると自然に思える。だが、作家の到達点を見せるべき短編集なら、精選された傑作を配置する方が読者の時間を尊重する選択ではないだろうか。特に中盤以降、いくつかの作品では筆が走り気味に感じられ、輝きを失った箇所も少なくない。 自営業という立場上、限られた時間で本を読む私には、全28編という枠にこだわるあまり、初期の傑作が埋没しているのが惜しく思える。むしろ厳選30作品程度に絞り、解説や配置の工夫で作家の軌跡を浮き彫りにする方が、より完成度の高い全集になったと感じる。 宮本輝ファンであれば購読の価値はあるだろうが、全短編を網羅することと、読む喜びを提供することは必ずしも一致しないという教訓を得た一冊である。

感想

宮本輝の全短編28作品がこの一冊に収められているという贅沢さに惹かれて手に取りました。デビュー以来の軌跡を短編という形で辿れるのは、作家の創作人生を立体的に理解する上で本当に貴重な体験です。 各編の質のばらつきが少なく、どれを開いても宮本輝特有の人間洞察の深さが感じられます。登場人物たちの心理描写は相変わらず秀逸で、日常の些細な場面から人生の本質が浮き彫りになる瞬間が何度もありました。長編では拾いきれない多様なテーマや人物像に出会える喜びがあります。 家事の合間に少しずつ読み進められるのも短編集の良さで、忙しい日々の中でも作品世界にしっかり浸ることができました。ただ28編は分量が多く、全て同じペースで読むと終盤は少し疲れるかもしれません。それでも、作家の全体像を掴みたい方や、短編の魅力を改めて認識したい読者には本当にお勧めできる一冊です。宮本輝ファンなら確実に満足できる内容だと思います。

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