高台家の人々

高台家の人々

神埜明美 / 森本梢子

出版社:集英社 出版年月日:2016/05/20

集英社 | 2016/05/20

4.00
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

最近、映画化された作品の小説化というのが話題になっているようですね。この『高台家の人々』も、そうした流れの中で目に留まった一冊です。80年も生きていると、新しい物語の形式も珍しく感じられるもので、どうせなら読んでみようと手に取りました。 主人公の木絵という女性の妄想癖と、彼女が恋に落ちる男性の秘密という、一見ありふれた恋愛ストーリーかと思いきや、予想外の展開が次々と現れます。心が読めるテレパスという設定は、現代の若い世代にも受け入れやすいファンタジー要素なのでしょう。文庫本という手軽なサイズで、長年の読書習慣に心地よく収まります。 軽妙な語り口と、登場人物たちの機知に富んだやり取りが印象的でした。自営業を営んできた身からすると、人間関係の機微を丁寧に描く姿勢が好感を持てます。話題作というだけあって、一気に読み通してしまいました。年配の読者にも十分に楽しめる、良い作品だと思います。

感想

話題の映画化作品ということで、映画を見た流れで手に取った一冊です。正直、小説化という試みに期待していたんですが、やや物足りなさを感じてしまいました。 映画の場面を活字で追っているだけという印象が拭えず、小説だからこそできる心理描写や深掘りがもう一歩な気がします。特に主人公・木絵の妄想癖という設定は、映像では面白おかしく表現できる要素なのに、文字だとどうしても限界がある。もっと内面的な葛藤や成長を掘り下げてくれたら、読み応えがあったのかなと。 テレパス設定も、ロマンティックコメディの仕掛けとしては悪くないんですが、小説という形式では想像の余地が少なく感じました。登場人物たちの関係性がもっと複雑に交錯していたら、新社会人の自分にも響く何かがあったんだろうと思います。 映画を先に見ている身としては、どうしても比較してしまうんですが、原作コミックから小説への翻訳がうまくいききれなかった感じがします。映画化作品の小説化は難しいんだなと改めて実感しました。

感想

映画化も話題になった「高台家の人々」をようやく小説版で読みました。正直なところ、コミック原作の小説化というと少し不安もあったのですが、この作品は見事にハマりました。 主人公・木絵の等身大の視点で物語が進んでいくのが心地よいんです。妄想癖のある平凡な女性が、まさか社内の憧れの人物から声をかけられる——その喜びと戸惑いがリアルに伝わってきます。そこにテレパス能力というファンタジー要素が加わることで、恋愛ものとしての新しさも感じさせます。 何より良かったのは、テンポの良さ。仕事の合間に読み進められるのに、きちんと物語としての深みがある。41歳の身としては、大人の恋愛小説としての側面も魅力的に映りました。キャラクター設定も立体的で、二転三転するストーリーの展開に引き込まれます。 最近の話題作だからこそ手に取ったのですが、単なるメディアミックス狙いではない、きちんと書き込まれた小説として成立しているのが素晴らしい。職場の同僚にもおすすめしようと思います。