カウンセリングとは何か 変化するということ

カウンセリングとは何か 変化するということ

東畑 開人

出版社:講談社 出版年月日:2025/09/18

講談社 | 2025/09/18

4.00
本棚登録:3人

みんなの感想

新書大賞受賞という話題性に引かれて手に取ったが、期待以上の収穫があった。管理職として部下の人間関係や心理的な課題と向き合う機会が多いなかで、この本が示すカウンセリングの本質が実務的に役立つ。 従来、カウンセリングは「傾聴」という受動的イメージを持っていたが、本書が強調する「5つの介入」という考え方は目からウロコだ。身体や視点の変化を促し、クライアントを能動的に動かすアプローチは、組織内の問題解決にも応用できる視点がある。 特に印象的だったのは「生き延びることから、ちゃんと生きることへ」という二層のゴール設定である。これは個人の心理臨床だけでなく、企業のメンタルヘルス施策や人材育成においても重要な視点だろう。臨床心理学の複数の流派を俯瞰しながら、メタレベルの原論を立てる構成も秀逸で、理系的な思考を持つ人間としても納得できた。 話題性で始まったが、実務的な価値と理論的な深さの両立。経営層や人事担当者にも強く勧めたい一冊だ。

# 人生を「変化させる」ことの本質に触れた一冊 新書大賞受賞作ということで期待して手に取りましたが、その期待を十分に満たしてくれました。 カウンセリングを単なる「悩み相談」ではなく、人生そのものを変化させるプロセスとして捉える視点が非常に新鮮です。精神分析からユング心理学、認知行動療法まで、これまでバラバラに学んできた心理学の諸派を統合的に理解できるフレームワークが示されている点が特に秀逸。主婦として家族の人間関係に悩むことも多い身としては、「生活を守ること」と「人生をちゃんと生きること」という二つのゴールの区別が心に響きました。 ただ新書という限られた紙幅の中で、理論の深掘りが若干物足りない箇所もあります。もっと具体的な事例やカウンセリングの現場の描写があれば、より腑に落ちやすかったかもしれません。とはいえ、現代を生きる私たちにとって「変わること」の意味を改めて問い直させてくれる良書です。人生について真摯に考える人には、ぜひ読んでほしい一冊。