しんの本棚
カウンセリングとは何か 変化するということ

カウンセリングとは何か 変化するということ

東畑 開人 講談社 2025年9月18日

感想

新社会人として組織に入り、人間関係の複雑さに向き合う中で、この本に出会えたのは幸運だった。カウンセリングという一見すると限定的なテーマながら、著者は臨床心理学の歴史を縦軸に、複数の心理学派を横軸に据えることで、驚くほど広がりのある視点を提供している。 特に印象的だったのは、カウンセリングが単なる「聞く」行為ではなく、身体、世界観、視点といった多次元での介入であることの説明だ。机上の理論に終わらず、実践的な枠組みが示されている点が優れている。また、「生き延びることと生きることの違い」という二項対立は、人生設計について深く考えさせられた。 新書という限られた紙幅の中で、これだけの密度で心理学の全体像を俯瞰できる本は稀だ。理論的な厳密さを保ちながらも、読者の人生に直結する問いが随所に織り込まれており、まさに新書大賞受賞にふさわしい仕上がりになっている。新社会人だからこそ読むべき、人生の根本的な問題に向き合える良著だ。