しんの本棚
くじけないで

くじけないで

柴田トヨ 飛鳥新社 2010年3月1日

感想

98歳の詩人・柴田トヨさんの言葉集を手にして、驚いた。新社会人として社会に出たばかりの自分にとって、この本がこんなに響くとは思わなかった。 「人生いつだってこれから」というコピーが示す通り、人生の終盤に差し掛かった方からの言葉は、若い世代への無言のメッセージとなっている。トヨさんのみずみずしい表現は、決して甘い励ましではなく、人生の本質に触れた真摯な思考だ。 社会人になって初めて挫折や迷いを経験している今、この本に出会えてよかった。短編的な詩や言葉の数々は読みやすく、通勤電車の中でも気軽に開ける。ただし侮ってはいけない。一つ一つの言葉に人生経験が積み重なっており、読む度に違う意味が見えてくる。 強いて挙げるなら、もう少しテーマの深掘りがあれば、より人文書として完成度が高まったかもしれない。だが、そのシンプルさこそが、この本の持ち味なのかもしれない。年齢や立場を超えて、多くの人に読まれるべき一冊だ。