読書メモの本棚
感想

直木賞を受賞した作品だと聞いてすぐに手に取った。この歳になると、話題の良い本を見逃したくないという思いが強いものだ。 物語の構成が実に巧みだ。結婚という終点から始まり、アルバムをめくるように過去へ遡っていく。親子という関係の中に秘められた複雑な感情が、一層ずつ明かされていく。著者の筆力の凄さは、そうした禁忌的なテーマを描きながらも、どこか優雅さを失わない点にある。登場人物たちの心の空白感、愛に飢えた姿が、じっしに迫ってくる。 長く人生を歩んできた身としては、人間関係の難しさ、愛の形の多様さについて改めて考えさせられた。文庫本という手軽さも良い。何度も読み返すことになりそうだ。この作品、同じ世代の人間にも、若い世代にも読んでもらいたい。人生とは何か、愛とは何かを問い直すきっかけになるだろう。確かな評価は伊達ではない。

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