莉子の本棚
魔法治療師のティーショップ パン職人の秘密

魔法治療師のティーショップ パン職人の秘密

シャンナ・スウェンドソン / 今泉 敦子 東京創元社 2026年3月30日

感想

この本を手にとったのは、他の読者様のレビューで「心あたたまる物語」というお言葉を見かけたからです。ボランティアの傍ら、疲れた心を優しく包んでくれるような作品を探していた時期でしたので。 読んでみて、本当に良かったと思います。パンを焼くときの「優しい気持ちで心を満たす」というルシーナの祖母の教えが、物語全体に流れているのです。つらい過去を背負いながらも、丁寧に毎日を重ねていく主人公の姿勢が、自然と心に響きました。 謎解きの面白さもありながら、決して事件の解決だけが目的ではなく、登場人物たちの傷を癒していく過程を丁寧に描いているところが素晴らしい。村の人々とのやさしい交流、お茶とパンという日常の営みの中での人間関係。こうした細部が本当に丁寧に書かれています。 年を重ねた今だからこそ、こういった静かで温かみのある物語の価値がよく分かります。無理なく読め、読んだ後も心が柔らかく保たれるような良い一冊。同じような作品をお探しの方に、自信を持ってお勧めできます。