莉子の本棚
お探し物は図書室まで

お探し物は図書室まで

青山 美智子 ポプラ社 2020年11月11日

感想

図書室という空間の温かさが心地よく伝わってくる一冊でした。 人生に迷いながら図書室を訪れた五人の方々と、不愛想ながらも真摯に向き合う司書さんの関係が丁寧に描かれていて、読んでいて自分のことを考えさせられることがたくさんありました。ボランティアをしていると、誰もが何らかの課題を抱えているものだと感じますが、この本はそうした葛藤に本という媒体を通じて向き合う大切さを教えてくれます。 一人一人の悩みに対して選ばれる本が実に巧妙で、なるほどこういう視点もあるのかと新しい発見も多かった。司書さんの何気ない言葉が時に深く、時に優しく、心に響きます。短編の連作という構成も読みやすく、どこからでも始められるのが気に入っています。 ただし、物語としてはやや淡白に感じる部分もありました。もう少し登場人物たちの変化がはっきり見えたら、さらに素敵だったかもしれません。そうはいえ、本や読書の力を静かに信じている方なら、きっと共感できる作品だと思います。

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