#真相をお話しします
新潮社 | 2022/06/30
みんなの感想
最近のSNSやYouTubeといった現代的な題材を扱ったミステリは珍しいと思い、恐る恐る手に取ってみました。72歳の私には新しい世界のお話ですが、この本は上手く現代と人間の本質を絡ませていて、とても興味深く読むことができました。 何より驚いたのは、各篇が綿密に計算された構成になっており、一見すると日常の小さな違和感が、後になって大きな意味を持ってくるところです。特に「拡散希望」という題のお話は、島という限定的な空間で起きる出来事を通じて、現代社会が抱える問題を深く問い掛けていました。 著者の「どんでん返し」の手腕は見事で、予想を裏切られることが何度もあります。ただ強引に読者をだますのではなく、きちんと伏線が張られているので、読んだ後に「ああ、そういうことだったのか」と納得できるところが良いですね。 文庫本でお手頃な価格なのも有難いこと。今の時代を描いた作品に少し不安もありましたが、むしろそれが新鮮で、深い思考を促されました。同年代の方にも、新しいタイプのミステリに興味のある方にもお勧めできる一冊です。
最近、SNS時代のミステリという新しい手法に惹かれて手に取りました。率直に言って、期待以上でした。 この作品の最大の魅力は、現代の私たちが日々目にするSNSやYouTubeといった要素を、ミステリのトリックの中に巧妙に組み込んでいる点です。特に「#拡散希望」の冒頭は、離島でのYouTuber活動という一見いびつな設定から始まるのですが、その違和感が物語の核へと繋がっていく構成の緻密さに感心しました。 五つの短編という形式なので、気軽に読める側面もあります。ただし短編だからといって侮ると痛い目に遭います。容赦ないどんでん返しが次々と襲いかかり、特に後半になるにつれて「あ、そういうことか」という衝撃が何度もあります。 強いて難点を挙げるなら、トリック自体が複雑で、読者によっては置いていかれる可能性もあるかもしれません。ただそれもまた、著者が仕掛けた罠の一部なのかもしれない—そう考えると、この作品の奥深さをより一層感じることができます。大人が満足できる知的なミステリ短編集です。
現代的な仕掛けとミステリの相性って、こんなに面白いんだなと改めて実感させられた一冊です。 SNSやYouTubeといった今どきの要素が、単なる時代設定ではなく、物語の核心に組み込まれている。その緻密さに驚きました。特に「#拡散希望」は、デジタル時代だからこそ成立するトリックで、読んでいて思わず唸ってしまった。日常に隠れた小さな違和感が、最後には大きな真実へと反転していく。その快感はたまりません。 五篇すべてが丁寧に構築されていて、どれも最後の数ページで見事にひっくり返される。容赦ない「どんでん返し」というのは本当で、予想を裏切られっぱなしです。ただし、その裏切りが読者を馬鹿にしたものではなく、きちんと伏線が張られている。そこが感心するポイントですね。 自営業をしていると、つい仕事のことばかり考えてしまう毎日ですが、こういう作品に出会うと、頭を切り替えて物語世界に没入できる。気軽に楽しめるのに、知的興奮に満ちた読書体験。久しぶりに満足度の高い本を読んだと感じます。