莉子の本棚
クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ

横山 秀夫 文藝春秋 2006年6月9日

感想

このところボランティアの活動で、つい新聞ばかり目が行ってしまう毎日でしたが、文庫本で引き戻された思いです。 1985年の日本航空機事故を題材にした作品ですね。実は私もあの年、あの事故についてのニュースをはっきり覚えています。だからこそ、この小説がどう描くのか、恐る恐る読み始めました。 著者は単なる事故報道にとどまらず、新聞人としての葛藤や使命、そして家族との関係まで丁寧に描きこんでいます。主人公の悠木記者が、報道と人間として何を選ぶのか、その苦悩がとても説得力を持って伝わってきました。長編ですが、引き込まれて一気に読んでしまいました。 ただ、内容が重く、実在の悲劇を扱っているので、どうしても心が重くなる箇所があります。それでも読む価値は大いにあると思います。人生経験を重ねた読者だからこそ、この作品の深さが理解できるのではないでしょうか。文庫本というフォーマットも、いつでも手に取りやすく、良い判断だと思いました。

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