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感想

就活という誰もが通る通過点を舞台にしながら、ここまで深く「自分とは何か」という問いを掘り下げた作品は珍しいと思います。 5人の登場人物たちが、SNSで演じられた自分と面接での自分、そして本当の自分との間で揺らぐ様子が、本当に丁寧に描かれています。フリーランスの自分も、キャリアについて何度も立ち止まることがあるので、この物語の中で彼らが感じるモヤモヤした違和感がとても他人事とは思えませんでした。 特に印象的だったのは、著者が言語化することの難しさをきちんと認識している点です。就活の「正解」を求める社会的プレッシャーの中で、自分たちの本音がどんどんズレていく過程が、ほぼセリフのみで表現されているのに、その心理が明確に伝わってきます。 ページをめくる手が止まらなくなる面白さというより、読み終わった後に「この話、登場人物たち今どうしているんだろう」と考え込んでしまう、そういう質の高さがあります。直木賞受賞の理由がよく分かりました。迷ったら読んで損のない一冊です。

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