悪の教典 下

悪の教典 下

貴志 祐介

出版社:文藝春秋 出版年月日:2012/08/03

文藝春秋 | 2012/08/03

4.50
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

上巻から引き続き、この作品の虜になってしまいました。下巻では、蓮実聖司という人物の底知れぬ怖さが爆発的に描かれていて、目が離せませんでした。 実は上巻を読み終わった時点では、ここまで極限的な展開になるとは予想していなかったんです。だからこそ、学園祭の夜に繰り広げられる一連の出来事には本当に衝撃を受けました。理性的に物語を追うはずなのに、次々と起こる事態に息つく暇もなく引き込まれていきます。 著者の筆致の冴えが際立つのは、蓮実という存在の複雑性を決して単純化しないところです。純粋な悪役として片付けられない、その人間的な深さがあるからこそ、より恐ろしく感じるんでしょう。フリーランスで独立した身だからこそ余計に、社会で成功する人間の裏側について考えさせられます。 ミステリーとしてのカタルシスも申し分ありません。慎重に情報を積み重ねて読む派の私ですが、この作品は思考を超えた衝撃で引っ張っていく力がある。エンターテインメント性と心理描写のバランスが秀逸だと思いました。

感想

上巻を読み終わった直後、すぐに下巻を手に取らずにいられませんでした。慎重に本を選ぶ性分の自分でも、このシリーズの続きが気になって仕方なかったのです。 蓮実聖司という人物の二面性が徐々に露呈していく過程は、本当に秀逸でした。教師としての完璧さと、その裏に隠された冷徹さのコントラストが見事に描き出されている。下巻では、その怪物性がついに牙を剥く場面へと向かっていくわけですが、貴志祐介の筆力には改めて舌を巻きました。 ただ、エンターテインメント性を重視した結果、心理描写よりも事件の展開速度を優先させている部分は感じられます。もう少し登場人物の内面掘り下げがあれば、さらに深みが出たのではないかという余韻は残ります。 とはいえ、ページをめくる手が止まらなくなるような緊張感、そして予想を裏切る展開の数々は、純粋なエンターテインメント小説としては一級品です。話題になった理由が納得できる傑作でしょう。フリーランスとして不規則な生活をしていますが、こういう一気読みさせてくれる作品は本当にありがたい。

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