近藤の本棚
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

アンディ・ウィアー / 小野田 和子 早川書房 2026年1月22日

感想

仕事で詰まったときの気分転換として手に取ったのですが、一気読みしてしまいました。 エンジニアとしての視点から見ると、この作品が素晴らしいのは、科学的な設定を非常にしっかり構築しながらも、決して難解に陥っていない点です。宇宙物理学の知識が随所に織り込まれているのに、むしろそれが物語を引き立たせている。登場人物の問題解決のプロセスが論理的で、その試行錯誤に説得力があります。 人類滅亡まで30年というタイムリミットの緊張感の中で、孤独な宇宙飛行士の奮闘が描かれているのですが、単なるサスペンスではなく、ユーモアと希望も随所に散りばめられているんです。絶望的な状況なのに、ページをめくる手が止まりません。 技術的な正確さと娯楽性の両立、これは実は難しいバランスだと思うのですが、著者はそれを見事に成し遂げている。エンジニアはもちろん、そうでない方にも十分楽しめるエンターテインメントとして完成度が高い。上巻でこのクオリティなら、下巻への期待も高まります。

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