近藤の本棚
感想

「週刊文春ミステリーベスト10」という謳い文句に惹かれて手に取りました。期待値は高めでしたが、その期待を上回る傑作だったと思います。 密閉された地下空間という設定だけでも緊張感が走るのに、そこに殺人というエレメントが加わることで、物語が一気に加速します。何より秀逸なのは、この状況下での登場人物たちの心理描写。9人の中から犯人を特定しなければ脱出できない——こうした極限状態で、人間がどのように判断し、何を優先するのかという葛藤が深く描かれています。 エンジニアとしての視点で見ると、地下建築の構造や水没までのタイムリミットといった現実的な制約条件が、ストーリーの緊迫感を支える骨組みになっていることに感心しました。論理的でありながらも、決して冷徹ではない。人間の感情と理性のぶつかり合いが、最後まで失速することなく描かれています。 ただ終盤の真犯人特定に至るまでのプロセスに、若干の納得度不足を感じたというのが個人的な感想。それでもなお、読み終えた後の余韻は強く残ります。ミステリー好きなら間違いなく手に取る価値ある一冊です。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ