方舟

方舟

夕木 春央

出版社:講談社 出版年月日:2022/09/08

講談社 | 2022/09/08

3.67
本棚登録:3人

みんなの感想

非常に高い評価を受けているという情報を見かけて、少し慎重に手に取った作品でしたが、その評判に違わず素晴らしかった。 閉じ込められた9人という限定的な空間設定にもかかわらず、登場人物たちの心理描写が実に丁寧です。生き残るために犯人を見つけ出さなければならないという緊迫感の中で、各々が異なる思惑や恐怖を抱えている。その心の揺らぎが言葉や行動の端々に表れていく描き方が秀逸だと感じました。 フリーランスという不安定な立場で日々を過ごす自分にとって、登場人物たちが直面する「選択」と「決断」が重く響きました。誰もが完全な悪人ではなく、かといって完全な善人でもない——そのリアルな人間臭さが物語に深みを与えていると思います。 ページをめくる手が止まらなくなる面白さもありながら、読み終わった後に考えさせられることも多い。エンタメ性と文学性のバランスが絶妙な作品です。レビューを参考にしながら本を選ぶ私でしたが、この作品に関しては期待値を上回る満足度でした。

『方舟』を読み終わりました。正直なところ、期待と現実のギャップが少しあったというのが素直な感想です。 プロット自体は魅力的です。密室、タイムリミット、犯人探し、そしてその犯人を「生贄」として差し出すという極限の状況設定。週刊文春とMRC大賞での受賞も納得の面白さはあります。ただ、エンジニア的に言うなら、各要素のクオリティのばらつきが気になってしまいました。 登場人物たちの心理描写は丁寧で、追い詰められた状況下での人間関係の変化は読み応えがあります。一方で、ミステリーとしてのカタルシスという点では、若干の物足りなさを感じました。犯人の正体に至るまでのプロセスが、読者に与えられる情報量とのバランスが難しく、最後のページを開いても「なるほど」という確実な納得感よりも「そう来たか」というやや曖昧な印象に終わってしまいました。 エッセイ的な深掘りと冒険小説としてのスリルが混在していて、どちらに振り切るべき作品なのか判断が難しい部分も。とはいえ、このテーマに興味がある方であれば、一読の価値はあると思います。

地下に閉じ込められて、犯人を見つけないと脱出できない…っていう設定、めっちゃ面白そうだったんですよ。ミステリーって好きだし、『週刊文春ミステリーベスト10』にも選ばれてるし期待してました。 実際に読んでみると、確かに緊迫感はあるし、犯人は誰なのか気になって徹夜しちゃいました。登場人物たちがどんどん疑い合うところとか、限られた時間の中での焦りとか、そういう雰囲気は良かった。 ただ、なんか途中から展開が予想通りになっちゃう感じがあって。もっと意外な犯人とか、衝撃の真犯人みたいなのを期待してたんですが、そこまで驚かされませんでした。ミステリーって、最後の解明がキモだと思うんですけど、その部分がちょっと物足りなかったかな。 面白くないわけじゃないんです。普通に読める、ちゃんとしたミステリーですよ。ただ、ベスト10だから…みたいな期待が大きかったぶん、ちょっと肩透かし食らった感じですね。気軽に読むにはいいかもです。