近藤の本棚
俺たちの箱根駅伝 上

俺たちの箱根駅伝 上

池井戸 潤 文藝春秋 2026年9月2日

感想

久しぶりに手に取った長編小説です。仕事で疲れていた時期に、友人が「駅伝の話だけど、登場人物たちの葛藤が丁寧に描かれていて良い」と勧めてくれたので、慎重に確認してから購入しました。 正直に言うと、スポーツ小説に対しては少し警戒心がありました。熱血的で一本調子になるのでは、という懸念です。しかし実際に読み始めると、そんな心配は杞憂でした。予選会敗退から始まる物語は、単なる勝敗だけでなく、監督と選手の信頼構築、テレビ制作現場の葛藤、人間関係の複雑さなど、多層的な視点で構成されています。 特に印象的だったのは、主将・青葉隼斗の心情の揺れ動きです。挫折から立ち直る過程が、理屈ではなく感情的にリアルに伝わってきます。プロデューサー・徳重の視点も加わることで、物語に立体感が生まれています。 上巻ということで続きが気になりますが、続きが気になるほどの完成度の高さがあります。エンジニアの視点で言えば、各要素がきちんと組み込まれた設計思想の良さを感じました。下巻も期待して購入予定です。

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