近藤の本棚
感想

警察小説の大河シリーズというなら、まずその構成と世界観の緻密さを確認してから読むというのが私のスタイル。ところが『鷹の系譜』は、その慎重さを吹き飛ばしてしまった。 昭和から平成へ、時代が大きく変わる転換点で起きた殺人事件。捜査一課と公安一課という相容れない両組織に身を置いた二人の刑事の人生、そしてその息子たちへ受け継がれていく「系譜」。この設定だけで引き込まれました。バブル期という浮ついた社会背景の中で、思想と現実のギャップが鮮烈に浮かび上がる。 エンジニアとして論理的に物事を考える習性がありますが、この作品はそうした思考の枠組みすら揺さぶります。登場人物たちの信念、親から子へ引き継がれる覚悟、そして時代とともに変わっていく価値観。単なる謎解きではなく、人間と社会を見つめる深さがある。 正直なところ、最後まで読み終わるまで手を離せませんでした。続編を読む前提で、まずこれまでのシリーズに遡りたいという思いにさせる、そんな力強さを感じました。

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