近藤の本棚
かがみの孤城

かがみの孤城

辻村 深月 ポプラ社 2017年5月9日

感想

話題作だったので期待値が高かったのですが、読み終わって少し肩透かしを感じました。 ファンタジー的な設定は魅力的で、鏡の向こうの城という世界観には引き込まれます。登場人物たちの背景にある生きづらさへの向き合い方も丁寧に描かれていて、そこは素直に良いなと思いました。 ただ、プロット全体の構成に疑問が残るんです。エンジニアとして複数の情報を整理して論理的に考える癖があるせいか、展開の必然性が弱く感じてしまいました。特に物語の核となる部分の説明が、やや都合よく感じられてしまう。後半になるにつれ「そこまでするか?」という違和感が積み重なっていきました。 また、児童文学寄りの表現が多く、大人読者としては少し物足りなさを感じます。メッセージ性は強いのですが、その分キャラクターの深掘りが浅い印象も。確かに一気読みできる快適さはあるのですが、読後の余韻や考え深さという点では、同じくらいの話題作の方が優れていると感じました。 不特定多数の人に「生きづらさ」を救済する物語として描こうとした意図は理解できますが、その普遍性を求めるあまり、個別の物語の厚みが減ってしまったのかもしれません。

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