taroの本棚
感想

仕事の傍ら、中国思想にもたびたび目を向けてきた身としては、この章炳麟の論文集は非常に興味深い読み物だった。帝国主義の波が押し寄せる時代に、東洋の古い思想を武器に西欧思想と対峙した彼の知的格闘が、24篇の論文を通じて立体的に浮かび上がる。 特に印象的だったのは、単なる懐古主義に陥らず、仏教や老荘の思想を近代的に再解釈しながら、植民地主義を徹底的に批判する論理の一貫性である。知識人としての矜持を感じさせる。魯迅や毛沢東に影響を与えた思想家というだけあって、その射程の広さと深さには驚かされた。 岩波の文庫という手頃なフォーマットなのも良い。難しい古典思想だが、解説が丁寧で、管理職という立場で忙しい日々の中でも少しずつ読み進められた。近代中国の思想的基礎を知りたい、あるいは西欧中心的な世界観を相対化させたい人には、確実にお勧めできる一冊だ。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ