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対岸の彼女

対岸の彼女

角田 光代 文藝春秋 2007年10月10日

感想

管理職の立場で何人もの部下を見てきたからか、この作品の持つ問題意識がストンと胸に落ちた。結婚、子ども、仕事といった人生の選択肢が多様化した現代だからこそ、同年代の女性たちの間に生まれる微妙な距離感や葛藤がこんなにも切実に見えるのだろう。 二人の女性の立場の違いが丁寧に描かれていて、どちらが正しいわけでもなく、ただそれぞれの人生を歩んでいるだけなのに、なぜか分かり合えなくなる。その悲しさが胸に迫ってくる。会社で様々な背景を持つ人間関係を築く身として、人と人の間にある見えない壁について考えさせられた。 文体も読みやすく、長編ながら一気読みさせてしまう面白さがある。直木賞受賞作というのも納得だ。登場人物たちの日常の中に、深い問題が静かに横たわっている。人生経験を重ねた今だからこそ、この作品の魅力が十分に伝わってくる気がする。気軽に手に取りやすい文庫版も嬉しい。

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