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上月城忠義 北近江合戦心得(〈七〉)

上月城忠義 北近江合戦心得(〈七〉)

井原 忠政 小学館 2026年3月6日

感想

戦国時代の群像劇として、この一巻は実に味わい深い。豊臣秀吉の天下統一の過程を、元浅井家の視点から描くというアプローチが新鮮だ。主人公・与一郎の立場の難しさ、毛利への復讐心と現実的な判断のぶつかり合いが、読んでいて胸に迫る。 管理職の身として、秀吉と与一郎の関係性に惹かれた。上司と部下の信頼と葛藤、時には非情な決断を迫られる立場の重さ——それが歴史という大きな舞台で描かれると、より一層響くものがある。黒田官兵衛と竹中半兵衛という軍師たちの戦術的な緻密さも見どころで、戦場の緊張感がしっかり伝わってくる。 シリーズ第七巻ということで、背景知識がなくても十分楽しめたのはポイント高い。文庫版で気軽に読める長さも良い。冬の上月城へ向かう兵団の描写は雪景色と相まって、どこか侘しさと壮大さが同居していて、久しぶりに歴史小説の面白さを思い出させてくれた。

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