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老いと死のことば 日本の古典を読む

老いと死のことば 日本の古典を読む

鈴木 健一 岩波書店 2026年2月25日

感想

還暦も視野に入ってきた年代として、「老いと死」というテーマには自然と惹かれるものがある。古典を通じてこうした普遍的な問題に向き合おうという企画は理に適っていて、興味を持って手に取った。 ただ読み進めてみると、少しもの足りなさを感じた。各章で取り上げられた古典の断片や引用は確かに興味深いのだが、それらがどう現代の私たちの人生観に結びつくのか、その深掘りが浅いように思える。短編エッセイ集というフォーマットの宿命かもしれないが、もう少し丁寧な解釈と著者自身の考察が欲しかった。 また、「老い」に関する章立てはあるものの、どちらかというと哲学的・教養的な読みに終始していて、実際に老いを経験している身としては、もっと生活実感に根ざした内容を期待していた。古典は確かに知恵をくれるが、この本はそれをどう活かすかまでは教えてくれない。気軽に読める岩波新書としては悪くないが、同じテーマでもう少し深い著作を求める方には物足りないかもしれない。