taroの本棚
感想

古典の名著として何度も勧められていたので、この機会に手に取ってみました。 正直なところ、期待値が高かったせいか、少し肩透かしを食らった感じです。主人公ムルソーの行動原理が理解しがたく、その不条理さを追求する試みは分かるのですが、読んでいて感情移入できる部分がほとんどない。管理職として人の心理を読むことに慣れている身としては、人物の動機や葛藤がもっと明確であってほしかった、というのが本音です。 ただ、理性では説明できない人間の存在そのものを問い直そうとしたカミュの意図は理解できます。戦後の実存主義思想を代表する作品として、その歴史的価値は疑いありません。 短編としてもコンパクトで、読み終えるのに時間もかかりませんでした。哲学的思考を深めたい人には良い教科書になるでしょう。ただ、小説としての面白さや人間ドラマとしての深さを求める読者には、もう少し物足りないかもしれません。人文書として一度は読む価値がある作品ではありますが、私個人としては「なるほど」という理解にとどまり、心を揺さぶられるまでには至りませんでした。