本棚の住人の本棚
舟を編む

舟を編む

三浦しをん 光文社 2011年9月1日

『舟を編む』を読み終わって、しばらく余韻に浸っていました。 この本は、辞書編集という一見地味な仕事を題材にしているのに、なぜこんなに心が温かくなるんだろう。登場人物たちが言葉一つひとつと真摯に向き合う姿勢が、本当に素敵です。特に主人公の馬締が、営業部で「変人」扱いされていたのに、辞書編集部で自分の才能を花開かせる過程には、思わず応援したくなります。 印象的だったのは、チームメンバーそれぞれが「言葉」という共通の目的で繋がっていくところ。年代も背景も違う人たちが、一冊の辞書を完成させるために協力する物語として描かれているんですが、これって実は人間関係の本質を描いているんじゃないかと感じました。 フリーターの自分も、何か一つのことに没頭できる喜びがあります。この本を読むと、その大切さをあらためて思い出させてくれます。地道な作業の積み重ねが、やがて大きな成果になるという希望も感じられて。 単なる仕事小説ではなく、人生について考えさせられる素敵な一冊です。