本棚の住人の本棚
感想

江戸時代の知識人による紀行文ということで手に取ってみました。司馬江漢という画家が実際に見聞きした長崎や生月での経験を、等身大の言葉で記録した作品です。 正直に言うと、期待値が高かったぶん少し物足りなさを感じてしまいました。確かに、当時の日本がどのように機能していたか、庶民がどう生きていたかという情報は興味深いです。出島への潜入や捕鯨の島での見聞は、教科書では学べない貴重な体験記です。自筆本を忠実に翻刻した版ということで、原文の息遣いを感じられるのは良い点。 ただ、紀行文としての面白さという点では、個人の主観や洞察が物足りない印象を受けました。「何があったか」という事実の羅列になっているパートが多く、著者の深い考察や独特の視点がもっと前に出ていたら、という感じです。同時代の他の知識人の著作と比べると、やや地味に感じてしまいます。 歴史や江戸時代に強い関心がある人には価値のある一冊だと思います。ただ、紀行文の傑作を求める読者にとっては、やや期待と異なるかもしれません。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ