生のみ生のままで 下

生のみ生のままで 下

綿矢 りさ

出版社:集英社 出版年月日:2019/06/26

集英社 | 2019/06/26

4.20
本棚登録:8人

みんなの感想

感想

綿矢りさの最新作、下巻を読み終わりました。上巻から続く二人の物語は、本当に引き込まれてしまいます。 女性同士の恋愛を描いた作品ですが、性別を超えた「人と人の繋がり」の本質が丁寧に描かれていることに感動しました。逢衣と彩夏が互いに求め合う姿は、純粋で切実で、読んでいて思わず応援したくなります。 下巻では二人が直面する試練の描き方が特に秀逸。世間的な「正解」と心の声のズレ、恋愛と人生のバランスについて、登場人物たちは必死に考え、選択していく。その葛藤や決断のプロセスがリアルで、公務員という立場で「世間体」を意識する生活をしている自分としても、すごく響きました。 綿矢りさの文章の美しさも相変わらず。情景描写から心理描写まで、全てが洗練されていて、何度も立ち止まって言葉を味わってしまいました。気軽に読む小説というより、じっくり噛み締める一冊。週末時間をかけて読むのがお勧めです。

感想

綿矢りさの新作ということで期待して読み始めたんですが、正直なところ、想像していた輪郭と少しズレた感じがしました。 女性同士の恋愛を描くことで、社会的な制約から解放されていく二人の姿を描きたかったんだろうなというのは伝わってくるんです。特に「常識も世間体も意識から鮮やかに取り払い」という表現には、著者の想いが込められているのが感じられます。 ただ、下巻として物語が進む中で、感情的な説得力がもう少し欲しかった。思わぬ試練が訪れるくだりも、設定としては興味深いのに、そこから二人がどう選択していくのか、その心の動きがやや駆け足な印象を受けました。 愛する人との関係が世間と衝突するときの葛藤って、もっと粘着質に、もっと複雑に描かれてもいいんじゃないかなと。綿矢りさんならそれが得意なはずなのに、という期待値が高かった分、ちょっと物足りなく感じたのかもしれません。 悪い本ではないんですけど、もう一段階、心に刺さるような何かが欲しかったな。そんな読後感です。

感想

綿矢りさのこの作品、下巻まで一気読みしてしまいました。上巻から引き続き、二人の関係の深まりと、それでも避けられない現実の衝突が描かれていて、もう目が離せなかったんです。 女性同士の恋愛をこんなに繊細かつ大胆に描いた小説って、そうそうないと思う。社会的な制約や常識に抗いながら、ただ純粋に相手を求める二人の姿が本当に切ない。特に下巻では、彩夏の芸能活動という現実的な問題が絡んでくることで、物語に一層の重みが加わっていました。 印象的だったのは、二人がお互いにどう向き合うかという選択の部分。完全にハッピーエンド一辺倒ではなく、複雑で痛みを伴う決断が描かれているところが、この本の強さだと感じます。綿矢りさの文体も相変わらず美しくて、感情のひだひだまでが言葉に落とし込まれている感じがします。 恋愛小説として、また純文学として、本当に傑作だと思います。気軽に読める本ではないかもしれませんが、それでも多くの人に読んでほしい一冊です。

感想

綿矢りさの最新作『生のみ生のままで 下』を読み終えた。話題になっていた作品だったので、つい手に取ってしまった。 二人の女性の切実な恋愛を描いた物語なのだが、実に誠実で深い。年を重ねた身からすると、最初はどうなることかと戸惑いもあったが、読み進むうちに引き込まれた。彼女たちが世間の常識を脱ぎ捨て、自分たちの気持ちに正直に向き合う姿勢が、却って清潔に映る。 人生経験が長い分、人間関係の複雑さや葛藤が身に沁みる。特に後半、二人が試練に直面し、切実な決断を迫られる場面は実に緊迫していて、ページをめくる手が止まらなかった。 綿矢さんの文章は相変わらず美しく鮮烈だ。表現力が見事で、感情の揺らぎや身体の感覚まで丁寧に紡ぎ出されている。現代の若い世代が抱える自由と葛藤について、これほど真摯に向き合った物語を久しぶりに読んだ。 時代は確かに変わっている。そのことを改めて感じさせてくれる、素晴らしい一冊だった。

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