本棚の住人の本棚
感想

『このミステリーがすごい!』大賞受賞というキャッチフレーズに惹かれて手に取ったんだけど、これは本当に素晴らしい一冊だった。 遺伝人類学を専門とする主人公が古人骨のDNA鑑定から事件の真相に迫っていく…という設定だけで既に惹き込まれるのに、著者の文章力がそれを完璧に支えている。謎の散らばせ方が絶妙で、一見無関係に思える情報が後になって繋がる快感を何度も味わった。読者を惑わす情報の挿入タイミングも計算尽くされていて、最後まで予想を上回る展開が続く。 特に印象的だったのは、専門知識の織り交ぜ方のバランス。難しい学術用語も自然に物語に組み込まれ、主人公の説得力が増していく。それでいて、"ちゃぽん"のような些細な擬音表現まで活かされている繊細さ。こういう細部への拘りが、この作品を単なるミステリーから傑作へと昇華させているんだと思う。 文庫版としても読みやすく、評価の高さが納得できる仕上がり。本当にこれは外れない一冊です。

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