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容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

東野 圭吾 文藝春秋 2008年8月1日

感想

世間で評判の本だからと、やや躊躇しながら手に取った一冊でした。正直なところ、ハリウッド映画のようなエンタメ性より、人間の深い感情を描いた作品を好む方なのですが、この作品は見事にその両立を成し遂げていますね。 主人公の石神という高校教師の、一途な想いと数学の才能が織り成す悲劇。そして彼の親友である湯川学との対比。パート勤務で時間に余裕のある身だからこそ、じっくり味わえる心理描写の細やかさに引き込まれました。完全犯罪という大掛かりなテーマながらも、根底にあるのは人間らしい感情なんです。 東野圭吾の作品は初めてでしたが、こうした丁寧な筆運びであれば、これからも安心して読み進められそう。直木賞受賞というのも納得です。人生経験が増した年代だからこそ、登場人物たちの選択や葛藤がより深く理解できるのだと感じました。長篇ながら一気読みさせる力強さ。やはり世間の評判は伊達ではありませんね。

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