イン・ザ・メガチャーチ

イン・ザ・メガチャーチ

朝井リョウ

出版社:日経BP 日本経済新聞出版 出版年月日:2025/09/03

日経BP 日本経済新聞出版 | 2025/09/03

4.67
本棚登録:14人

みんなの感想

最近、推し活とか界隈とかのキーワードがどうしても気になって、この本を手に取りました。正解でした! 3つの異なる視点から、ファンダムの内側を描いているんですけど、これが本当にリアルで。アイドルを応援することの楽しさって、実は深い心理があるんだなって改めて認識させられました。沈みゆく日本で、人々が"物語"に寄り添う理由。その複雑さと切実さが同時に伝わってくる感じです。 特に良かったのは、推す側・運営側・かつて推してた側という多角的な視点。どの立場でも、その人なりの葛藤や想いがあるんだっていう人間らしさが素敵でした。決して一方的に「推し活は危険」みたいな説教的にはならないところも好印象。 読みながら、自分のスマホをいじっている時間のことも考えさせられちゃいました。気軽に読めるけど、読んだ後にいろいろ考えさせられる。こういう本が好きです。現代を生きる私たちに必要な一冊だと思います。

現代日本の「推し文化」の本質に切り込んだ傑作です。正直、最初はどんな話なのか半信半疑でしたが、読み進むにつれぐいぐい引き込まれました。 アイドルグループの運営側、ファンダムの中心にいる若者、そして冷ややかに傍観する者——三つの視点から同じ現象を見つめることで、浮かび上がるのは「物語の力」の両義性です。教員生活が長いので、生徒たちがこうした「推し」に夢中になっていく心情はよく理解できます。この本はそれを単なる消費文化として突き放すのではなく、人間の根本的な心理需要として真摯に描いている。 タイトルの「メガチャーチ」も秀逸で、現代における信仰の形が変わってきた様子が象徴されています。登場人物たちの心理描写が細やかで、沈みゆく日本社会という大きな背景との対比も効いています。 難しい社会批評になりすぎず、あくまで人間ドラマとして読める点も良い。気軽に読める小説としても、社会現象を考察する一冊としても秀逸です。ぜひ多くの人に手にとってほしい作品です。

現代日本の"推し活"文化を深く掘り下げた傑作です。アイドルグループの運営側、ファンの大学生、そして元ファンの女性という三つの異なる視点から、人心操縦のメカニズムが丁寧に描かれています。 教育現場にいる身として、特に心に残ったのは「物語の力」というテーマです。SNS時代の若い世代がいかに巧妙に構築された物語にのめり込んでいくのか、その心理メカニズムが非常にリアルに描写されている。学校でも似たような現象を目の当たりにしていたので、本書の分析の鋭さに唸りました。 キャラクターの葛藤も秀逸で、単なる批評に終わらず、各々の立場での切実さが伝わってきます。沈みゆく社会で人々が"物語"に救いを求める心理の複雑さ、その危うさと美しさが同時に描かれているところが素晴らしい。 日経BPらしい洗練された構成で、社会評論としても小説としても完成度が高い。今の日本社会を理解するうえで必読の一冊だと思います。年配世代にこそ読んでもらいたい作品ですね。

現代日本社会の新しい"信仰"の形を見つめた傑作です。アイドルグループ、推し活、ファンダムといった表面的なキーワードではなく、その奥底にある人間心理の本質を丁寧に掘り下げている。 三人の登場人物の視点から同じ現象を捉え直すという構成が秀逸で、一つの出来事がどう見えるか、どう感じられるかで人の人生がこうも変わるのかという驚きがあります。特に「物語」というキーワードが全編を貫いており、何度も考えさせられました。 家族と離れて暮らし、何かに没入する心理。推し活に癒やしを求める気持ち。かつての熱狂を手放す葛藤。どれもが現代の私たちの中にある感情で、非常にリアル。沈みゆく社会の中で、人は何を求め、何に救われるのか—その問いに正面から向き合った一冊です。 話題の著者による作品ですが、その評判に納得できます。エッセイのような深い思考と小説としての物語性がうまく融合しており、読み終えた後も長く心に残る。この季節の一冊として、大変お勧めできます。

現代日本の"推し活"文化を鋭く描いた傑作です。アイドルグループ運営側、ファンの学生、舞台俳優を応援する女性——三つの視点から、人々がいかに物語に惹かれ、操られるのかが浮き彫りになります。 子育てをしながら読んでいて、ふと気づくのは自分たちの日常にも同じ構造があるということ。SNS、推し活、オタ活——現代人がいかに物語を求め、その中に生きているかが見事に描かれています。登場人物たちの心理描写が丁寧で、それぞれの葛藤や孤独感に共感できました。 沈みゆく社会の中で、人々が心のよりどころを求める切実さ。その背景にある経済的な仕掛け。著者は決して一方的に善悪を判断せず、複雑さをそのまま提示してくれます。重いテーマですが、読み始めたら一気読み必至。気軽に読める一冊ではありませんが、読後に世界の見え方が変わります。今の時代に必要な問題提起に満ちた素晴らしい作品でした。

現代の「推し文化」について、ここまで深掘りした小説があったんだという驚きが最初の感想です。アイドルやタレントを応援することの何が人の心をこんなに掴むのか、それを複数の視点から丁寧に描写していて、読んでいて自分の推し活や「好きなもの」への向き合い方を考え直させられました。 3人の主人公たちの視点がそれぞれ説得力があるんですよね。運営側の葛藤、ファン側の心理、そして距離を置いた視点——これらを交互に読み進めることで、同じ現象がいかに多角的に見えるかが理解できます。特に「物語を使う」というテーマが重く響きました。 自営業をしていると、顧客心理やマーケティングについついビジネスの目で考えてしまうんですが、この本は単なる経済分析ではなく、そこに存在する人間の感情や欲望を丁寧に掬い上げています。決して説教的にならず、ページをめくる手が止まりません。 沈みゆく日本社会の中で、人々が求めているものは何か——その答えを求める旅に連れていかれる一冊です。気軽に読める小説としても、社会を考察するエッセイとしても秀逸でした。