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夏と花火と私の死体

夏と花火と私の死体

乙一 集英社 2000年5月1日

感想

妻が図書館で借りてきた本で、どんな内容か半信半疑で手に取ったのですが、一気に引き込まれてしまいました。これは乙一という若い才能あふれた作家のデビュー作だそうですね。 正直なところ、タイトルだけ見ると怖い話なのかと躊躇していたのですが、読んでみると単なるホラーではなく、不思議な詩情と哀しさに満ちた物語でした。少女の視点から語られる、非日常の中での兄妹の関係性が細やかに描かれており、読むたびに心がざわつきます。 文庫本ということもあり、手軽に読める長さながら、その内容の濃さには驚きました。構成が巧みで、読み進むにつれて物語の仕掛けが明かされていく快感があります。七十代に近い私のような読者にとっても、こうした新しい表現手法の小説は非常に刺激的です。 もう一度読み返したくなる、そういう味わい深さがある。若い世代だけでなく、人生経験を積んだ世代にも心に残る作品だと思います。文庫化されて手に取りやすくなったのは本当によかった。

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