夏と花火と私の死体
集英社 | 2000/05/01
みんなの感想
私、五月は9歳の女の子 同級生で幼なじみの弥生ちゃんと仲良しで 弥生ちゃんのお兄ちゃんの建ちゃんの事が好きだ。 まったりとストーリーは始まっていくのだが ある日、五月は弥生ちゃんに殺される あっけないほど簡単に・・・ そして建ちゃんと弥生ちゃんは五月の死体を隠す。 何度も見つかりそうになりながら… この小説、不思議な事に主人公は死体になった五月なのだ。 死んでしまった五月の一人称でストーリーが展開していくと言う ちょっぴり変てこな文章なのだけれど 読み始めると、とまんないーーーーー。 臨場感に、緊張感? 時々背筋がゾクッとしながら 一気に読んでしまう。 最後のオチもw( ̄△ ̄;)wおおっ! 脱帽した。 この小説が乙一氏のデビュー作だそう。 なんと執筆したのは16歳の時だって言うから驚きだ。 もう一遍の 『優子』 こちらも気味の悪いお話で、恐かったけれど 非凡な作品だったと思います。
妻が図書館で借りてきた本で、どんな内容か半信半疑で手に取ったのですが、一気に引き込まれてしまいました。これは乙一という若い才能あふれた作家のデビュー作だそうですね。 正直なところ、タイトルだけ見ると怖い話なのかと躊躇していたのですが、読んでみると単なるホラーではなく、不思議な詩情と哀しさに満ちた物語でした。少女の視点から語られる、非日常の中での兄妹の関係性が細やかに描かれており、読むたびに心がざわつきます。 文庫本ということもあり、手軽に読める長さながら、その内容の濃さには驚きました。構成が巧みで、読み進むにつれて物語の仕掛けが明かされていく快感があります。七十代に近い私のような読者にとっても、こうした新しい表現手法の小説は非常に刺激的です。 もう一度読み返したくなる、そういう味わい深さがある。若い世代だけでなく、人生経験を積んだ世代にも心に残る作品だと思います。文庫化されて手に取りやすくなったのは本当によかった。
エンジニアとして論理的思考に慣れた身としては、この作品の構成の巧妙さに思わず引き込まれました。死体という衝撃的な設定から始まりながら、徐々に明かされる真実の層の深さが秀逸です。 乙一のデビュー作とのことですが、まず驚くのは独特の語り口。一人称で語られる物語なのに、その視点の揺らぎが意図的に計算されているのが感じ取れます。エンジニア的に言えば、ロジックが完璧に組み立てられているのです。 内容はホラー要素を含みながらも、兄妹の関係性という人間ドラマが軸になっており、単なる怖さだけではない深い余韻が残ります。九歳の夏という限定的な時間軸設定も効果的で、その中に凝縮された物語の密度が高い。 ただ慎重に言うと、一部グロテスクな表現があるため、気になる方は事前に了解が必要かもしれません。文庫化されているので読みやすいですし、小野不由美の解説も本作の理解を深めます。 エンジニアの視点でも、文学的価値でも、どちらの角度からも楽しめる傑作だと思います。