りょうの本棚
無理をして生きてきた人

無理をして生きてきた人

加藤 諦三 PHP研究所 2024年3月18日

感想

長年の自営業経験を通じて、人間関係の微妙な歪みというものに敏感になってきた。この本は、そうした違和感の根源を実に丁寧に解き明かしてくれる。 著者は「不幸な良い子」という概念を通して、幼少期の家庭環境がいかに深く心に刻まれるかを述べている。正しく生きているはずなのに疲れている、他者の幸福が素直に喜べない—そうした心理状態の理由が、言語化されることでようやく見えてくる。自分の経験と照らし合わせながら読むと、思わず苦笑いしてしまう場面も多い。 心理学的アプローチながら、決して難解ではなく、新書という形式に収まった実践的な内容になっている。特に印象的だったのは、「温かい無関心」という表現。我慢を強いられてきた人間にとって、これがいかに救いになるか、著者の洞察は秀逸だ。 自営業で様々な人間関係を築いてきた者として、自分自身の心の扱い方を改めて考えさせられた。多くの大人が何らかの形で「良い子」のまま生きているはず。そうした人たちにこそ、この一冊は大きな転機になるだろう。

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