りょうの本棚
天の園(第6部)

天の園(第6部)

打木村治 偕成社 1977年1月1日

感想

『天の園』第6部を読み終えた。偕成社の新書シリーズということで、手軽に読める形式だと思っていたが、予想以上に深みのある内容だった。 この巻では、これまでの物語の流れを継ぎながらも、登場人物たちの内面描写がより繊細になっているように感じられた。人間関係の複雑さや葛藤が、丁寧に紡ぎ出されており、単なる冒険譚に留まらない思想的な重みが感じられる。長年多くの本を読んできた者として、このバランス感覚は評価できる。 若干、既読者でないと追いにくい部分もあるが、それはシリーズ物の宿命だろう。むしろ、ここまで続く物語を一貫性を保ちながら展開させる構成力は見事だと言える。 新書というフォーマットの中で、ここまでの密度を詰め込むのは容易ではない。出版社の編集力も含めて、質の高い仕上がりになっていると感じた。今後の展開がどうなるのか、続きが気になる一冊だ。