りょうの本棚
裏千家茶道教科(15)

裏千家茶道教科(15)

千宗室(15代) 淡交社 1977年7月1日

感想

茶道の実践書として手に取ってみたが、正直なところ期待値と実際のギャップを感じずにはいられなかった。裏千家の教科書という位置づけだけあって、形式や手順の説明は丁寧で、それなりの参考価値はある。ただし、本シリーズが15巻に及んでいるという事実が、この本の限界も暗示している気がする。 個別の技法や作法について、既習者向けの踏み込んだ解説を期待していたのだが、実際には基本に忠実な説明に留まっている。それ自体は悪いことではないが、深い理解よりも型の習得に主眼が置かれているせいか、「なぜそうするのか」という根拠や背景についての記述が物足りない。 自営業の傍ら新書や思想書を読む習慣がある身としては、もっと茶道の美学や歴史的背景、精神性についての言及があれば、より充実した読書体験になったと思う。実用書としては及第点だが、教養や思考の深まりを求める読者にとっては、やや表面的に映る一冊である。

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