りょうの本棚
高市早苗という病

高市早苗という病

適菜収 ベストセラーズ 2026年7月29日

感想

政治ジャーナリズムとしての価値と、その限界の両方が見える一冊だった。 高市早苗に関する報道は既に周知の事実が多いが、本書はそれらを体系的に整理し、一連の問題行動が単なる個別事案ではなく、構造的な背景に根ざしていることを指摘している点が秀逸である。経歴詐称から統一教会との関係、放送法解釈問題に至るまで、丹念に事実を積み重ねた議論の立て方は、自営業で意思決定を迫られる身としても説得力がある。 ただし、この新書の主張はあくまで編者の視点が強く反映されていることは意識しておく必要がある。複数の疑惑が「客観的事実」と断定される部分には、なお政治的立場が投影されているように感じる。だからこそ、本書を含む複数の論評を比較検討することの重要性を改めて認識させられた。 民主主義社会において権力監視機能は不可欠であり、その役割を果たす試みとしては評価できる。ただし読者側も、一つの議論で完結するのではなく、多角的な視点を求め続ける姿勢が求められる。そうした補助線を引いてくれる点で、本書の存在意義は十分にある。

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