りょうの本棚
人生は逆算できるのか

人生は逆算できるのか

勅使川原 真衣 筑摩書房 2026年8月6日

感想

子どもが進学時期を迎えた時期に、ふと手に取った一冊だ。「いい学校→いい仕事→いい人生」という図式に疑問を感じていた矢先だったので、著者の問いかけは強く響いた。 自営業を営む身だからこそ、人生を緻密に逆算できるという幻想がいかに危険かが痛感できる。市場環境は日々変わり、昨日の常識が明日も通用するとは限らない。それなのに、見えない将来のために選択肢を狭めるなんて馬鹿げている。著者はそこに気づかせてくれる。 本書の核心は、人生をプロジェクトとして管理する思考の根拠を問うことにある。親や学校は「不安を軽減するため」という名目で計画を強要するが、実際には予測不可能な人生を歩むほかない。むしろ大事なのは、予測不能な状況で柔軟に対応できる力ではないか。 自営業人生で何度も軌道修正を迫られた経験が、この本の主張を全肯定させる。新書という形式の中で、これほど本質的な問題提起ができた著者の手腕は見事だ。同じ疑問を抱く大人たちに、ぜひ読んでほしい。

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