智子の本棚
感想

本屋大賞の三冠というのに惹かれて読んでみたのですが、これは期待以上でした。ピアノ調律師という地味だけれど奥深い職業を題材にしながら、こんなに心が満たされる物語になるなんて。 外村という青年がピアノ調律の世界に出会い、その音色の美しさを追求していく過程が、本当に丁寧に描かれています。自営業の私としては、職人気質で自分の仕事に向き合う姿勢に共感することばかり。完璧を求め、ときには苦悩しながらも、確実に成長していく彼の姿が眩しく感じました。 何より素敵なのは、人間関係の描き方です。ピアノを愛する登場人物たちが、それぞれの想いを抱えながら外村と交わることで、ただの成長物語ではなく、温かいヒューマンドラマになっているんですよね。静謐で穏やかな筆致だからこそ、心に深く残る言葉が活きている。 映画化されたというのも納得。ぜひ映像でも見てみたいです。大人こそ読むべき一冊だと思います。

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