てつの本棚
屍人荘の殺人

屍人荘の殺人

今村昌弘 東京創元社 2017年10月12日

感想

久しぶりに一気読みさせられた。『屍人荘の殺人』は、本格ミステリの骨太さと、奇想ともいえる設定が見事に調和した傑作だ。 舞台となる紫静荘での連続殺人事件は、単なる推理小説の枠を超えている。肝試しから始まる日常の延長線上で、次々と起こる惨劇。その非日常性の描き方が絶妙だ。葉村、明智、比留子といったキャラクターも魅力的で、それぞれの立場から事件に向き合う姿勢が読んでいて心を掴む。 教員という仕事をしていると、生徒の前では理性的であることが求められるが、この本を読んでいる時間は、その制約から解放されて純粋に物語の謎に没頭できた。犯人は誰か、どうやってこんなことが可能なのか、という問いが止まらない。 終盤の仕掛けはさすがだ。奇想と本格というふたつの要素が衝突し、融合し、最後には見事に着地する。読み終わった時の満足感は格別。ミステリ好きなら間違いなく楽しめる一冊だ。

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