みんなの感想
日本推理作家協会賞受賞作ということで、話題になっていたので手に取りました。正直、期待以上の出来栄えに驚きました。 島を舞台にした六つの短編を通じて、故郷への複雑な感情――愛と恨み、懐郷心と逃げ出したい気持ちが絡み合う心情が見事に描かれています。登場人物たちは皆、島という閉ざされた世界から抜け出そうとしながらも、心のどこかで島に引き寄せられている。その葛藤がとても人間らしくて、ページをめくる手が止まりません。 選考委員も指摘していた「魚料理などの扱い」の丁寧さが印象的でした。細部にこだわる描写があるからこそ、物語が生きているんだと感じます。著者自身が島で生きてきた経験が活きているのでしょう。推理作家としてのプロフェッショナルな技術と、深い内省的なテーマがうまく融合しています。 文庫版で読みやすいのも良かったです。短編集なので時間がない時でも一編ずつ味わえます。これからも著者の作品をチェックしていきたくなりました。
日本推理作家協会賞受賞という帯の文字に惹かれて手に取った一冊です。連作短編集ということで、無理なく読み進められるだろうという期待もありました。 いやはや、期待以上でした。島という閉ざされた世界に生きる人々の複雑な感情が、丹念に、そしてさりげなく描かれています。各編を読むたびに、登場人物たちの心の揺らぎが自分の胸にも伝わってくる。選考委員の北村薫氏が「ほとんど名人の技」と評された言葉がよく分かります。 特に印象的だったのは、筋立てに説得力があること。奇をてらった展開ではなく、人間らしい葛藤の中から自然と物語が立ち上がってくる。魚料理や島の風景といった細部の描写も、単なる背景ではなく、物語の重みを支える大切な要素になっています。 正直なところ、推理小説というジャンルに最初は少し身構えていたのですが、これは心の謎を解く物語なのだと気づきました。人間関係の複雑さ、故郷への複雑な思い――そうしたテーマに真摯に向き合った傑作だと思います。同年代の方にも、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
最近、話題になっていた『望郷』をようやく読み終わりました。日本推理作家協会賞受賞作ということで期待していましたが、予想以上の完成度でした。 島という閉ざされた世界を舞台に、そこから逃げ出した人間たちの複雑な心情を六つの連作短編で描いています。それぞれの物語が独立しながらも、島という存在が底流で人々を繋いでいるその構成の巧みさに感心させられました。 北村薫さんが「名人の技」と評した通り、推理小説としての意外性やトリックよりも、人間関係の機微や郷愁といった普遍的なテーマを、いかに効果的に表現するかに力を注いでいる。魚料理などの細部描写も含めて、本当に隙がない。 この年代になると、どこかで「故郷」という言葉に反応してしまいます。島を愛しながらも恨み、離れても心がひきずられてしまう──その矛盾した感情が、これほどまで鮮やかに描かれた作品は珍しい。著者自身が島で生きてきたからこその説得力があるんでしょう。 人文書や思想書も好きですが、こういう質の高い短編集に出会えるのは本当に幸福です。
最近登録された他の本の感想
2026年07月06日
河出書房新社の新刊紹介欄で目についた本です。正直なところ、タイトルも装丁も奇想天外で、最初は躊躇しました。でも説明文を何度も読み返すうち、これは只事ならぬ作品だと感じて手に取りました。 正解でした。こんな面白い本は久しぶりです。内ホーナー国と外ホーナー国という設定だけで既に魔法のような世界観なのに、フィルという人物が現れた途端、物語が一気に生命を帯びる。彼の演説シーン、民衆の熱狂ぶり、次々と起こる奇想天外な事件の数々——全てが絶妙なバランスで調和しているんです。 何より素晴らしいのは、このおとぎ話が実は現実を鋭く風刺しているという構造です。権力、狂信、民衆心理といった重いテーマを、こんなにも軽やかに、時に失笑を誘うような荒唐無稽さで描き出す著者の力量には脱帽します。読んでいて思わず笑いが漏れそうになるのに、同時に背筋が冷たくなる不思議な感覚。 64歳になって、まだこんなに新しい読書体験ができるのかと、嬉しくもあり驚きもあります。文庫本というお手頃さもいい。迷っている方には、ぜひお勧めしたい一冊です。
2026年07月06日
綿矢りさの新作ということで手に取ったんですが、期待以上の仕上がりでした。女性同士の恋愛を描く作品って、どうしても表面的になりがちだと思ってたんですけど、この作品はそうじゃない。登場人物たちの内面の揺らぎや葛藤が丁寧に描写されていて、引き込まれました。 特に印象的だったのは、恋愛感情が生まれるまでのプロセス。唐突に見えるかもしれない出来事も、細かい心理描写を追っていくと自然に感じられる。そういう繊細な書き方が綿矢りさらしいなって思います。 ただ正直なところ、上巻の段階では物語としてはまだ序章に近い感じがしますね。だからこそ下巻が気になって仕方ない。もっと関係がどう動いていくのか、登場人物たちがどんな選択をするのか、そこまで読まないと全体評価は難しいと感じました。でも上巻だけでも十分価値のある作品です。新しい文学的表現の可能性を感じさせてくれた一冊でした。
2026年07月06日
ラブライブのファンの子どもに「面白いマンガがあるよ」と勧められて読んでみました。正直、元のアニメについて詳しくない私でも、キャラクターたちの日常を描いた4コマとか短編は気楽に楽しめます。 ただ、正直なところ「あ、そっか」くらいの感じで、特別ハマるほどではありませんでした。公式の縛りに抗いながら描き続けたというコンセプトは面白いんですけど、それが読んでいてどう活きているのか、私には今ひとつ伝わってこなかったような…。 同好会メンバーたちのキャラが立ってるのは伝わるし、ファンならもっと楽しめるんだろうなというのは推測できます。スクフェスの懐かしい4コマも、やってた人には堪らないんでしょう。付録のカードが付いてるのも、推し活中の人には嬉しいポイントですね。 軽く読める娯楽作品として、悪くはないです。ただ、シリーズをしっかり追ってる人向けの一冊という印象は否めません。
2026年07月05日
大谷翔平選手で有名になった中村天風という人物について、ちょっと興味を持って手に取ってみました。明治生まれの思想家の教えを現代的な悩みに絡めて解説するという構成は、なかなか工夫されているなあと思います。 本書は「考え方」「Q&A」「実践」という三部構成で、分かりやすく整理されているのが良いですね。「心ひとつの置きどころ」といった天風の名言も、なるほどと納得できるものばかり。定年を迎えた身としては、人生観を改めて考える参考になりました。 ただ、正直なところ、特に目新しい発見があったかというと、そこまでではないというのが本音です。世間一般で言われている「ポジティブに考えましょう」「人生は自分次第」といった教えが、天風の言葉を通して改めて述べられている感じで、既に知っていることばかりという印象も拭えません。 悩める現代人に向けた問答コーナーは読みやすく参考になりますが、もう少し深掘りした内容があれば、もっと満足度が高かったと感じます。軽く読める自己啓発本をお探しでしたら、無難な一冊だと思いますよ。
2026年07月04日
孫の勧めで読み始めたこのシリーズも、ついに22巻まで来てしまいました。最初は難しいかなと思っていたのですが、回を重ねるごとに物語の面白さに引き込まれてしまい、気がつけばシリーズを追い続けていました。 この巻では、いよいよ大きな決着を迎えるようで、登場人物たちの想いがぶつかり合う様子が印象的です。複雑な設定と登場人物の多さに最初は戸惑いましたが、丁寧に読み進めていくと、それぞれのキャラクターの背景や動機がしっかり描かれていることに気づきます。パート先の休憩時間に少しずつ読むのが最近の楽しみになっていて、同年代の友人たちにも話題として共有できるのが嬉しいですね。 ライトノベルということで最初は侮っていましたが、想像以上にしっかりとした物語構成になっていて驚きました。若い世代から大人まで楽しめるというのは、本当だったんだと納得します。次の巻も早く読みたくなる、そういう中毒性のある面白さが、このシリーズの魅力なのでしょう。
2026年07月04日
話題になっていたので手に取ってみたのですが、正直なところ期待とのズレが大きかったです。日本の書道・文化に関する参考書という位置づけなのでしょうが、エッセイのような読み味を求めていた私には少し難しすぎました。 専門的な知識がないまま読むと、用語や背景知識がかなり必要だと感じます。もっと一般向けに、歴史的な背景や人物の逸話など、物語性のあるアプローチで書かれていたら、もっと引き込まれたのではないでしょうか。自営業で忙しい身なので、気軽に読める本を探しているのに、この本は「きちんと勉強する」という姿勢が必須で、ちょっと疲れてしまいました。 書道に真摯に向き合っている方には有用な一冊かもしれませんが、話題性だけで手にするには少し硬い内容だと思います。もう一度、基礎知識を身につけてから改めて挑戦してみようかとは思いますが、今はこの本との相性が合わなかったというところです。
2026年07月04日
小川糸さんの本は以前から好きで、このエッセイ集も迷わず手に取りました。 日本全国の食堂を巡る旅の記録なんですが、単なる「おいしい食べ物紀行」ではないんです。訪れた先々で出会う人たちの人生や想い、そして彼らが作る料理への向き合い方が丁寧に描かれていて、読んでいると自分も一緒に旅をしているような感覚になります。山形の山の茶屋、沖縄の森の中の食卓、能登の復興の話など、どれもが印象的です。 小川糸さんの文章は相変わらず静謐で美しく、読んでいてとても落ち着くんですよね。主婦として毎日台所に立つ身からすると、料理を作る人たちの真摯さや工夫、そこに込められた想いがすごく響きました。食べることって、こんなに豊かで深いものなんだと改めて感じさせてくれます。 ただ、もう少しバラエティ豊かな職業の人たちの話も読みたかったかなという気もするので、星は4つで。でも本当に素敵な一冊です。台所で疲れた時や、ちょっと心がしぼんでいる時に読むと、元気をもらえそうな本だと思います。
2026年07月04日
最近、話題になっていたファンタジー小説ということで手に取ってみました。婚約者に捨てられた令嬢が、自分の才能を活かして人生をやり直すというストーリー。時流に乗った"逆転劇"のテーマですね。 読んでみると、確かに爽快感のある展開で、つい先へ先へと読み進めてしまいました。主人公が次々と革新的なことをやり遂げていく場面は、こちらまで応援したくなります。ただ、正直なところ、登場人物たちの心の揺らぎや葛藤がもう少し深く描かれていたら良かったなと思いました。あとから後悔する元婚約者も、もっと人間らしい苦しみが見たかった気がします。 魔法という非日常的な設定を使いながらも、どこか表面的というか、類型的な人物像に感じてしまったんです。お話としては悪くないのですが、小説として心に残るものを期待していたので、そこが物足りなかったというところでしょうか。話題作だからこそ、もう一段階の深さが欲しかったです。
2026年07月03日
最近、仕事のパフォーマンスを上げたいという思いと、なかなか続かない朝のランニング習慣に悩んでいたときにこの本に出会いました。 科学的根拠に基づいた習慣形成のテクニックが、これほどまでに実用的にまとめられているのは珍しいです。ハーバードやスタンフォードといった一流大学の研究結果がズラッと並んでいるので、説得力が段違い。「52分作業して17分休憩」という具体的な数字まで示してくれるのが、わかりやすくていい。 特に印象的だったのは「選択肢は3つ用意する」という提案です。これまで私は選択肢が多いほど良いと思い込んでいたのですが、逆に負担が増えるという指摘に目からウロコでした。さっそく実践してみると、本当に決断が楽になりました。 トレンドに敏感な私としては、最新の研究に基づいた内容というのが大きな魅力。仕事も プライベートも「習慣」で変わるというコンセプトは、忙しい大人こそ知るべき価値があります。実行できるかは自分次第ですが、その道筋を示してくれる良書だと感じました。
2026年07月02日
この本を手に取ったのは、SNSで何度も目にした「52ヘルツのクジラ」という表現に惹かれたからです。誰にも届かない声、という意味の深さに、思わず引き込まれてしまいました。 実際に読んでみると、期待以上でした。貴瑚と少年という二人の孤独な存在が、どのように出会い、どのように響き合うのか——その描写の繊細さに何度も立ち止まってしまいました。家族に搾取されてきた女性、虐待を受けた少年という重いテーマなのに、決してどんよりした印象ではなく、むしろ二人が見つけ出す光のようなものが感じられます。 町田そのこさんの文体は本当に美しくて、特に心の内面を描く部分では思わずはっと息を飲むほど。主婦として日々家事に追われていると、ついつい自分の気持ちや考えを後回しにしてしまいますが、この本を読んでいる間は、そういう小さな心の声を大切にしたいと思わせてくれました。 心に傷を持つ人たちが、どのように他者と繋がっていくのか。その過程を丁寧に、そして優しく描いた作品です。強くお勧めできます。
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