てつの本棚
アフリカから来たランナーたち 箱根駅伝のケニア人留学生

アフリカから来たランナーたち 箱根駅伝のケニア人留学生

泉 秀一 文藝春秋 2025年12月18日

感想

正月の箱根駅伝を毎年楽しみにしている身として、この本は非常に興味深かった。テレビ画面に映るケニア人ランナーたちの驚異的な走りは何度も見てきたが、彼らの素顔や背景についてはほぼ何も知らなかったのだ。 著者が実際にケニアまで足を運んで、選手たちの故郷や生い立ちを丹念に取材している点が素晴らしい。貧困の中で走ることを余儀なくされた環境から、箱根駅伝というステージへ辿り着くまでの道のり。その重さと複雑さが伝わってくる。記録保持者やオリンピック選手など、個々のドラマも興味深いし、「ガル高校」という謎めいた存在の真相も驚きだった。 新書というコンパクトなフォーマットながら、内容は十分に深掘りされている。スポーツファンはもちろん、教育現場でも見られる「多文化」という課題を考えさせられる一冊。駅伝の華やかさの裏側に隠された現実を知ると、今後テレビ中継の見え方が変わりそうだ。気軽に読めて、それでいて考えさせられる。そういう本が好きな身としては、とても満足できた。

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