文子の本棚
成瀬は天下を取りにいく

成瀬は天下を取りにいく

宮島 未奈 新潮社 2025年6月25日

感想

本屋大賞受賞作ということで、つい手に取ってしまいました。成瀬あかりという女の子の、なんともぶっ飛んだ行動の数々に、最初は戸惑いながら読んでいたんです。ですがね、読み進めるにつれて、この子のまっすぐさ、そしてエネルギーにすっかり引き込まれてしまいました。 閉店する百貨店に毎日通ったり、お笑いコンビに入ったり、高校の入学式に坊主頭で現れたり――常識的には理解しがたい選択ばかりなのに、成瀬のそうした決断ひとつひとつに、何か強い信念と優しさが感じられるんです。幼馴染の島崎との関係も素敵で、読んでいて思わず顔がほころびました。 パートで毎日働いていると、若い頃の自分を思い出すことがあります。こんなに自由でのびのびとした気持ちで、何かに夢中になることって、大人になると忘れちゃう。この本は、そうした大切な何かを思い出させてくれます。気軽に読める青春小説でありながら、心にじんわり残るものがあります。本当に素敵な一冊でした。