文子の本棚
感想

何十年も生きていると、心の奥底に問い続ける疑問が溜まってくるものです。この本を読み始めた時、そうした深い問いに向き合う覚悟が必要だと感じました。 遠藤周作さんの『沈黙』は、信仰と苦悩について描かれた作品ですが、難しい思想書ではなく、一人の人間の葛藤を静かに追う物語として読めます。江戸時代、隠れキリシタンの時代背景の中で、主人公がどう生きるのかを選んでいく様子が、胸に深く響きました。 読んでいて時々ページを閉じて、自分自身のことを考えてしまいました。人生経験がそこそこ積まれた年代だからこそ、登場人物たちの苦しみが他人事に思えないのです。パート仕事の休憩時間に少しずつ読み進めるのが、丁度よいペースでした。 文庫本のサイズも手に取りやすく、文章も読み応えがあって素晴らしい。哲学的なテーマを扱いながらも、人間味溢れる描写がたくさんあります。迷っている時間がもったいないほど、一度は読んでみる価値がある一冊です。