直人の本棚
感想

直木賞受賞という話題性に惹かれて手に取った一冊だが、期待以上の傑作だった。短篇連作という形式で、一つの家族の複数の視点から「愛」と「家族」という普遍的なテーマに向き合う。 各編で登場人物が切実に苦しみ、葛藤する姿が生々しく描かれていて、読んでいて何度も胸を突かれた。特に印象的だったのは、それぞれが別々の問題に直面しながらも、見えない絆で繋がっている家族の姿。星座になぞらえた表現が秀逸で、離れていても同じ空の下にあるという、何か温かいメッセージを感じさせる。 五十代も半ばを過ぎると、家族や人間関係についての考え方も深まってくるが、この作品はそうした思索に応える深さがある。団塊世代の親の世代と自分たちの世代のズレ、そして次の世代への責任。短編ながら人生の重みが凝縮されている。 文句なしの傑作。この出版社とこの著者の名前は今後も注視していきたい。同世代の男性にはぜひ読んでもらいたい一冊だ。

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